
(ご注意) 実際の問題に際しては必ず専門家にご相談下さい。
(出典)「グループ会社の経営実務」第一法規出版 加除式 平成12年2月25日版
第4章 海外事業活動と税務 第1節外国税額控除 P5661〜5665 執筆:山條隆史
◇海外の会社から受け取るロイヤルティ・利子・配当に関する外国税額控除
当社では数年前に設立した外国子会社が漸く配当できるようになり、今年からそこからの配当収入も発生します。
また、今度A国に設立する合弁会社からはロイヤルティと貸付金の利子が当社に支払われる予定です。
これらの受取りに際しては現地で源泉税が控除されるようですが、日本での課税上外国で支払った税金はどのように取り扱われるのでしょうか。
複数の処理方法がある場合、当社で最も課税上有利となる取扱いを教えて下さい。
ポイント
(1)日本の法人税法上、内国法人は全世界所得に対して課税することになっています。そのため、外国で生じ外国で課税された所得も日本の法人税の課税対象となり、同一所得に対して二重に課税されることになります。
(2)国際的二重課税の調整方法には、国外所得免除方式、外国税額損金算入方式、外国税額控除方式の3つの方法がありますが、日本では外国税額損金算入方式か外国税額控除方式のいずれかを選択できることになっています。
(3)外国税額控除が認められるためには所定の申告要件を満たすことが必要であり、外国税額控除は法人税の申告書を通じて行われます。
(4)外国で誤って源泉された税金は外国税額控除では取り戻せないため、外国の税務当局との直接交渉で取り戻さない限り二重課税の調整は行われません。
また、税額控除できる外国税額は、国外所得に日本の実効税率を乗じて計算した控除限度額以内の金額とされており、さらに、外国税額が50%を超える部分、つまり高率負担部分の税額は税額控除の対象から除外することとされています。
そのため、日本での税率は世界のどの国の税率より高いから外国で支払った税金はいずれにせよ日本の申告ですべて取り戻せるという考えは誤りであり、見直さなければなりません。
1.国際的二重課税の調整方法
日本の法人税法上、内国法人の場合は全世界で稼得した所得を課税対象なります。一方、日本の法人が外国で稼得した国外所得は源泉地である外国にも課税権があり、源泉地国でも課税されます。
つまり、外国で課税された配当、利子、ロイヤルティは日本でも法人税の課税対象となり、同一所得に対して二重に課税されることになります。
そこで日本の法人税法が採用している国際的二重課税の調整方法は、外国税額損金算入方式と外国税額控除方式であり、納税者はそのどちらかを選択できます。
1.外国税額損金算入方式
この方式では、課税対象となる国外所得は外国税額を差し引いた手取額となります。そして、外国で納付した税金は日本の法人税額から控除できません。
2.外国税額控除方式
この方式では、海外で稼得した所得をいったん外国税額を差し引く前の金額で認識し、それに対する日本の法人税額を計算した上で、外国で納付した税額を上述した控除限度額の範囲内で控除します。
したがって国外所得に対して外国で支払った税額をと日本で支払う法人税額との合計額は、外国の税率が日本の税率より高い場合を除き、国外所得に日本の法人税率を乗じたものとなります。
3.どちらが有利か
税金負担総額は、通常、税額控除方式よりも損金算入方式の方が多くなりますので、税額控除方式の方が一般に有利です。しかしながら、十分な外国税額控除枠がない場合などに損金算入方式が使われます。
2.外国税額控除の仕組みと申告書の作成
外国税額控除は、法人税の申告書を通じて行なわれます。
1.外国法人税
外国税額控除の対象となる外国税額は、外国の法令に基づき外国またはその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税とされています。
課された外国法人税が所得を課税標準としているのかどうか不明な場合は、その国の関係先(支払元、現地国の税務アドバイザー、税務当局等)に問い合わせることになります。
2.控除対象外国法人税額
外国税額控除の形態は、(1)直接外国税額控除、(2)間接外国税額控除、(3)みなし外国税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)、および(4)タックスヘイブン税制における特定外国子会社等に係る外国税額控除があります。
ここでは、ご質問に関係する(1)と(2)について説明します。
(1)直接納付分
…外国子会社からの配当・ロイヤルティおよび利子の支払いに係る源泉所得税(別表六(四)「直接納付した控除対象外国法人税額に関する明細書」に記載)
内国法人が外国に設立した子会社から配当を受ける際に源泉地国で課された源泉所得税やロイヤルティまたは利子の受取りに際して源泉地国で課された源泉所得税は、直接税額控除として控除されます。
(2)間接納付分
…外国子会社(外国孫会社も含む)の配当の基礎となった所得に対して課税された外国法人税(親会社が納付したとみなされる外国法人税額)(別表六(五)「間接納付した控除対象外国法人税額等の計算に関する明細書」に記載。孫会社の場合は別表六(五の二)「外国孫会社に係る外国法人税額に関する明細書」に記載)
外国子会社が支払う配当は法人税が課された後の所得を原資としたものでありますので、親会社が配当を受け取った際に日本でその受取配当に課税されるということは、同一所得に対して二重に課税されるということになります。
そこで、この二重課税を回避するため、配当の基礎となった所得について外国子会社が納付した外国法人税額のうち親会社が受領した配当に対応する部分の金額を親会社が納付したものとみなさして、間接税額控除として控除することができることになっています。
外国子会社とは、その発行済み株式総数の25%以上または発行済議決権株式総数の25%以上が内国法人により、その内国法人が交付を受ける配当の支払義務が確定する以前6ヶ月以上引き続いて所有されている外国子会社です。
外国孫会社とは、上記の外国子会社により、その発行済み株式総数の25%以上(または発行済議決権株式総数の25%以上)が、その外国子会社が交付を受ける配当の支払義務が確定する以前6ヶ月以上引き続いて所有されている外国会社であり、かつ、内国法人の間接持分割合が(株式総数ベースまたは議決権株式総数ベースで)が上記支払義務確定備以前6ヶ月以上引き続いて25%である場合のその外国会社をいいます。
なお、対米国、オーストラリア、ブラジル、フランス租税条約では外国子会社の持株割合要件が緩和されています(フランスが15%、それ以外は10%)が、これは孫会社には適用されません。
(3)控除対象外国法人税額の計算
外国法人税は直接控除または間接控除にかかわらず、高率負担部分(税率が50%を超えるその超える部分の税率に対応する税額)の除外計算を経て、控除対象外国法人税額として一本に集計されます(別表六(二の二)「当期の控除対象外国法人税額に関する明細書」に記載)。
3.当期の控除額と3年間の繰越控除
控除対象外国法人税額は当期の控除限度額と比較され、当期に法人税および住民税から控除できる金額が決まってきます(別表六(二)「外国税額の控除に関する明細書」に記載)。
ただし、外国税額の納付時期と国外所得の認識の時期にずれが生じることもあり、このずれを解消するため、3年間の繰越控除ができることになっています(別表六(三)「外国税額の繰越控除余裕額又は繰越控除限度超過額の計算に関する明細書」に記載)。
4.申告書の添付書類
外国税額控除の適用を受けるためには、確定申告書に所定の記載を行うとともに、一定の書類の添付も必要です。
その添付書類としては、その課された税が外国税額控除の対象となる外国法人税に該当することについての説明や、控除対象外国法人税額の計算に関する明細の書類等が必要となります。
また、外国法人税を課されたことを証する申告書の写しや納付書等の写しも必要です。
これらの添付書類の作成や入手のためには関係者(支払元、日本での税務顧問および現地国の税務アドバイザー、その国の税務当局等)に問い合わせ、支援を求めることも必要になるかもしれません。
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